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沖縄県 那覇市

バタークリームをサンドした、昭和レトロな濃厚スポンジケーキ。 (2/2)

マーブルケーキ トーエ洋菓子店

聞き手 小林みちたか

写真 梅原渉

鎌倉で修行した東江裕貴さんが『トーエ洋菓子店』を継いだのは、2011年。以来、2代目として、お店を支えている。

看板商品の「マーブルケーキ」は、創業当時からレシピは一切変えていない。

特製のチョコレートはもちろん、生クリームを一切使わず、バタークリームを使うことで「昔ながらの甘いケーキ」を作り出している。

バタークリームを使ったケーキといえば、1950年代頃から広まり、かつては洋菓子店の定番だった。

長期保存が可能だから、冷蔵庫がまだ普及していない時代には重宝された。

バタークリームが主役だった昭和の洋菓子文化を今に伝える「マーブルケーキ」。花柄の箱型パッケージを開ければ、ふわりと漂う芳醇なチョコレートの香りが、懐かしさとともに食欲を誘う。

ただ、1980年代の終わり頃に生クリームを使ったケーキが登場すると、バタークリームのケーキは徐々に姿を消していった。

「最近では見つけるのも大変なのですが、それでも探し出して、いろんなお店でバタークリームのケーキを食べてきました。でも、うちのバタークリームに勝るものはありませんでした」

特別な作り方をしているわけではない。しいてあげれば、「卵が多いかもしれません」という味の特徴は、「濃さ」。

常温で食べていただくことを想定し、口にいれたら、溶けるように計算している。

「自分としては、バニラアイスみたいだと思っています。例えが合っているかは、わかりませんが(笑)」

チョコやスポンジの味が少し変わっただけで、「あれ?」と常連さんに気づかれてしまうというから、「2代目になったら味が変わった」と言われないよう、東江さんも気が抜けない。

最近は与儀の町に不思議とネパール人が増えているそうで、「甘いものが好きみたいですね」とよく買いに来るという。

与儀でしか味わえないケーキの未来

これまで東江さんは、先代から受け継いだ味を守ることを第一に、「このままつづけていければ」と思っていたという。

しかし、最近、その思いに変化が出てきたそうだ。

「新しいお店も増えていますし、ライバルたちも新しいことに取り組んでいます。うちだけ昔のままで、というわけにもいきません」

昔からお祝い返しの定番だった「マーブルケーキ」も、以前は2ヶ月間は、他のケーキをつくれないほど注文が殺到していたが、今では3月初旬の2週間ほどになった。

それでも十分すごいことだが、やはり少子化の影響は大きい。

だから最近は、販路の拡大も意識している。

那覇のNPOと協力して、ひとり親世帯へケーキをプレゼントする活動もその一つ。

「子供たちにはデコレーションケーキの方が相応しいんでしょうが、せっかくなのでマーブルケーキを贈っています」

ほとんどのお客様が「マーブルケーキ」を注文するため、店内には箱詰めされた「マーブルケーキ」が積み上げられている。

さらに、通販も検討していきたいという。

これまでは「冷凍すると、別の味になってしまうから」と配送はやっていなかった。

ただ、お客様からは、「冷やしてもおいしいよ」と言われる。

実際に冷やしても、スポンジのふわふわ感は保たれたまま、チョコはむしろ引き締まり、とてもおいしい。

店の前の通りに植えられる「トックリキワタ」の木は「南米ざくら」とも呼ばれ、桜のようなピンク色のかわいらしい花を咲かす。花の咲く11月には、「よぎトックリキワタまつり」が開催され、この通りも大盛り上がりになるという。

唯一無二のチョコレートに、昔ながらの濃いめのバタークリームをしっかり味わえる昭和レトロの甘いスポンジケーキ。

昭和世代には懐かしく、若者たちには新鮮な味わい。そのケーキが与儀から飛び出してくれれば、全国に喜ぶ人が大勢いることだろう。

「せっかくいろんな方に支持されてきたマーブルケーキですから、これからはもっと広く、より多くの方に届けていきたいと思っています」