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沖縄県 那覇市

「の」、書きますか? お祝いのお饅頭は、母からの贈り物。 (2/2)

のまんじゅう ぎぼまんじゅう

聞き手 小林みちたか

写真 梅原渉

「の」を書き入れたら、熱々の「のまんじゅう」の出来上がり。

手渡された「のまんじゅう」は、ずっしりと重い。コンビニの中華まんより、ひと回りは大きい。

いざ、生地を2つに割ると、ふわっと湯気が立ちこめる。メガネをしていれば、曇るほど。

こんな出来立て熱々が食べられるのも、店頭販売ならではだ。

「のまんじゅう」は、蒸した月桃(サンニン)の葉で包む。清涼感のある香りは、殺菌作用もある。沖縄では、自宅の庭で育てる人もいるほど一般的。リラックス効果もあり、安眠のために「小さく切って、枕に入れています」と祖慶さん。

「お土産で食べた冷めたものでも、美味しいとおっしゃっていただけるのはありがたいですが、やっぱり出来立てが美味しいです」と祖慶さんもおすすめ。

フワフワの白い皮に、たっぷり詰まった甘さ控えめの粒あんが絶妙においしい。

「あんこは元々母の手作りでしたが、今は東京の業者さんにお願いしています。このお饅頭の皮とマッチするように、何回も何回も調整してもらって、母の味になっています」

この味こそが、『ぎぼまんじゅう』の人気の秘密だ。

ぎっしり詰まった、こだわりのあんこ。元はお母様の手作りだったが、どんどん人気が出てきて、とても手作りでは追いつかなくなってしまい、業者さんにお願いするようになったそうだ。

母からの贈り物

祖慶さんには、弟が3人いるが、長女だったからか、「お店を継ぐのは私と決まっていたような感じでした」という。

饅頭作りは祖母から始まったが、『ぎぼまんじゅう』としては、「母から数えています」ということで、祖慶さんが2代目。現在、主に店頭に立つ祖慶さんの娘さんが3代目。さらに、その娘さんの4代目もお手伝いにくる。

3代目としてお店を切り盛りする祖慶さんの娘さん。途切れる事なくお客様が訪れ、電話が鳴る店内は、大忙し。「日によって、ちがいますよ」と笑うが、毎日完売するのだから、毎日忙しい。

『ぎぼまんじゅう』は、不思議と代々女性に受け継がれている。

これだけの人気店なら、「支店を出さないか」「卸をしないか」といった事業拡大の誘いはたくさんあるだろう。実際、そういう声は多いそうだが、「ぜんぶお断りしています」と祖慶さん。

「いろいろと手を広げない。儲けばかりを考えない。自分たちが食べるだけあれば、それで全然いいんだと、母に小さい時から教えられました」

祖慶さんは、その母の教えを今も大切にしている。だから、どんなにいい話が来ても、決して商売を広げるつもりはない。

『ぎぼまんじゅう』の「のまんじゅう」を食べられるのは、首里城のお膝元・那覇市首里久場川(くばがわ)にあるこのお店だけだ。

初代である祖慶さんの母は、小さい頃、奉公に出された。奉公先は、商売の家が多く、「こっちは倒れた、あっちは繁盛した」とさまざま商いの現実を見聞きした。

「一生懸命やっているところは繁盛しました。でも、あれこれと手を広げたところは、最初は繁盛しても、結局、全部潰れていったみたいですね」

そこで母は、「1つのことを一生懸命する」という商売の本質、そして人生の真髄を学んだ。

「母の存在は大きいです。私と弟たちの4人を育てて、今の私たちの生活の基盤を作ってくれましたから。ありがたいですよね」

そして祖慶さんは、穏やかなやさしい笑顔でつづけた。

「母から受け継いだ『のまんじゅう』を守りながら、これからも体が動く限り、つくり続けたいですね」